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No.004
この人にインタビュー
アニメーション作家 ドラゴウノさん
株式会社シンク プロデューサー 海瀬裕次さん
独自の世界観をPoserアニメーションで表現するドラゴウノさん。そのユニークな発想の原点と、アニメーション制作にかける情熱について語っていただきました。
(聞き手:滝澤真実 イーフロ文芸部)
映像よりも音楽のほうが高評価!?
滝澤真実(以下、滝澤): もともとは音楽が専門だったとお聞きしましたが、本当ですか?
ドラゴウノ(以下、ドラゴ): クイーン、エアロスミス、キッスの御三家にハマったクチです。でも、自分で音楽をやるために買ったのは、何を勘違いしたのかシンセサイザーで(笑) エレクトロ・ポップを中心にやっていました。
そのうちにフィリピンでレコードを出す話がきたので、フィリピンまで行ったんです。ところが、実際にそのレコード会社に行ってみたら、やたらうさんくさいんですよ(笑) なので、レコードを出す話は私のほうから断りました。そしたら今度は、「レコードは出さなくていいから宗教に入ってくれ」とか言われて。もう、むちゃくちゃです(笑) まあ、せっかくなので、しばらくアジアをぶらぶらすることにしました。
滝澤: せっかくだから、そのいかがわしい宗教に入ってみればよかったんじゃないですか(笑) なんて冗談はおいておくとして、音楽から動画に転身したきっかけはっどのようなものでしたか?
「テクノ紙芝居ドラゴウノ」
ShockwaveAWARDアニメーション部門受賞
「ココナッツ タロー」集英社デジタルマンガ賞 受賞
ドラゴ: インド映画「ムトゥ 踊るマハラジャ」を観たことです。あの映画の、音楽と映像が融合した感じにものすごく衝撃を受けて、私も自分の曲に映像をつけたいと考えるようになったんです。でも、音楽はいいけど、映像を作るのがなかなか大変で。そこで、映像を作るためのツールをいろいろ探したんです。
Poserのほかにも、VueやBryceなども試しましたよ。でも、作る映像にはストーリーをつけたくて、ストーリーを表現するにはどうしても人物を登場させる必要があったので、自然とPoserを選びました。何年くらい前だったでしょうか……最初に触ったのはPoser 4だったと思います。
滝澤: 最初に作品ができた時はどんな気分でしたか?
ドラゴ:
それはもう、嬉しい、の一言に尽きます。それがまた、2002年度のShockwaveAWARDに応募したら、いきなり賞をもらってしまって、嬉しさ倍増でした。でも、アニメーション部門での受賞だったにも関わらず、選評には音楽を褒めるコメントしかなかったんです。できれば他のところにも触れて欲しかったですね。いや、もちろん、音楽を評価してもらえるのはありがたいんですけど……少しだけ微妙な気持ちはありました(笑)
その後も集英社デジタルマンガ賞を受賞したりして、最終的には『タロピカーナ』※の企画を動画革命東京に応募して、支援を受けられることになりました。
滝澤: せっかくですので、『タロピカーナ』のプロデューサーである株式会社シンクの海瀬裕次さんにもお話をお聞きします。動画革命東京の取り組みと、ドラゴさんの作品の魅力について教えてください。
海瀬裕次(以下、海瀬):
動画革命東京は、動画の新しい可能性を追い求めるプロジェクトです。これまでにないメディアや事業形態、新鮮な映像体験など、なかなか日の目を見るチャンスが少ない、革新的な動画を生み出すクリエイターを応援しています。応募されてきた企画を精査して、可能性のあるクリエイターには実際に作品を作るための支援を行います。
最初にドラゴさんの作品を観たときは、驚きが大きかったですね。荒削りなところもありましたが、非常にとんがったクリエイターだなと思いました。作品世界は誰にもマネできないオリジナリティがありますし、制作手法もユニーク、もちろん音楽もインパクト十分です。アクが強いので万人向けではないかもしれませんが、一目見てカルト的な人気が出る可能性を感じました。
顔を知らない人と共作できるのがPoserの魅力
滝澤: 「タロピカーナ」を制作する上でドラゴさんがこだわった点を教えてください。
ドラゴ: Poserのフィギュアに動きをつけるところには、とてもこだわりました。3DCGはどうしても動きが硬くなってしまうので、手描きのアニメーションのような生々しい動きはなかなか表現できません。ですが、逆に3DCGならではの表現もあるはずなんです。そのあたりをいろいろ考えながら、とにかく細かい調整を繰り返しました。とても大変でしたが、努力の甲斐もあって、「タロピカーナ」のダンスシーンは非常に満足のいくものに仕上がりました。
動きのほかには、あまりリアルになりすぎないように、トゥーンっぽい質感の表現にこだわりました。3Dと2Dの中間のような表現にすることで、他にはない独特の雰囲気を作り出せたと思います。
滝澤: 登場人物に使ったフィギュアは、普通に市販されているものですよね?
ドラゴ:
ええ。主人公のタロはKoji、ヒロインのモナはVictoria、ほかにMikiなども使っています。フィギュアだけでなく、小物類もけっこういろんな場所から買ってきたものが多いですね。
でも、実は当初すごく心配だったんです。いちおう、使ったデータはどのデータも商用利用可能だったのですが、そういったデータを使ってアニメーションを作って売る、ということについて、「本当にいいのかな?」って思ってしまって。音楽の世界ではこんなにオープンなコンテンツの共有はありえないですからね。
その意味では、今でも私はPoserのコミュニティに本当に感謝しているんです。できあがったアニメーションも、ある意味では顔の見えない多くの人との共作だと思っています。この部分こそが、Poserの最大の魅力だと思います。
滝澤: 海瀬さん、アニメ業界では、Poserのようなコンテンツの共有は珍しいのでしょうか?
海瀬: 非常に珍しいです。というか、アニメ業界の常識からすると、革命的なんですよ。クリエイターの権利を守ったり、オリジナルの雰囲気を守ったりするために、基本的にはすべてが著作権で保護されていますので。
ドラゴさんから話を聞いたときには、「本当?」と何度も問い返しました。最初は不安だったので、アニメーション制作に使うコンテンツは使用許諾に「商用利用可」と書いてあるかどうかを必ず確認するように、口を酸っぱくして言っていたんですよ(笑)
商用利用が自由なコンテンツの流通がもっと増えて盛んになってくれると、業界としてもうれしいですし、クリエイターさんも作品づくりがしやすくなりますよね。本当にすごいことだと思います。
滝澤: ドラゴさん、影響を受けたアニメーション作家はいらっしゃいますか?
ドラゴ: 影響というわけではありませんが、一番衝撃を受けたのは押井守監督の「御先祖様万々歳!」です。宮崎駿監督の作品も、世代を超えて支持されているところがすごいですね。もちろんお二人とも日本が世界に誇る素晴らしい映像作家ですが、私は作風が違いすぎるので、影響を受けたとかそういう話ではなく、とにかく「すごいなぁ」と思って口をぽかんと開けて観ている感じです(笑)
滝澤: それでは、最後に皆さんへメッセージをお願いします。
ドラゴ:
音楽とダンスシーンには本当に自信があります。私を信じて、ぜひ『タロピカーナ』を買ってください。
あ、そういう話ではなく、ね(笑)
ええと、誰でも最初のきっかけは小さなものだと思います。でも、毎日ちょっとずつでも作り続けることで、思いは必ず形になります。あきらめずに続けて、小さなきっかけを大きな結果へと育ててください。諦めなければ、必ずゴールは見えてきますから。
滝澤: 本日はお忙しいところ、ありがとうございました。
ドラゴ・海瀬: ありがとうございました。
アーティストプロフィール
ドラゴウノ
四国出身。大学中退後にフリーターを経て、ミュージシャンを目指して東南アジアに渡る。その経験が後の制作活動に大きな影響を与える。帰国後インド映画「ムトゥ踊るマハラジャ」に感銘を受け、映像作品を作りたいという衝動に駆られ、我流でアニメーション制作を開始。
作品世界のオリジナリティはもちろんのこと、3Dキャラクター作成ソフトPoserを駆使するなど、制作スタイルも従来のアニメーション制作とは大きく異なり、独創性にあふれる。
02年「テクノ紙芝居ドラゴウノ」ShockwaveAWARDアニメーション部門受賞
04年「ココナッツ タロー」集英社デジタルマンガ賞受賞。
動画革命東京 公式WEBサイト : http://www.anime-innovation.jp
YouTube「動画革命チャンネル」 : http://jp.youtube.com/DOGAKAKUMEI
※タロピカーナ........
地雷により命を落としてしまった農村青年タロは、魂となって天界にたどり着き、美しい天女と恋に落ちる。前世の意識を持ったまま生まれ変わったタロの前に天女そっくりの娘が現れたことから、彼の運命は大きく変わってゆくのだった・・・。史上初めてマサラとアニメーションが融合した、マサラニメーション超大作!
南国に魅せられ、トロピカルで極楽浄土な世界観をベースに創作活動を行うドラゴウノの個性が爆発する、熱帯の美しい山河を舞台にした笑いあり、涙あり、ダンスありの新感覚3DCGアニメーション。
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