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趣味もビジネスもPoserで!
第2回「Poserは私設モデル・プロダクション」
前回は「Poserのドキュメントウィンドウは貴方専用のアトリエになる」という主旨でPoserをご紹介したが、今回はスモール・ビジネスへの応用を考えてみたい。
Macテクノロジー研究所:松田純一
http://www.mactechlab.jp/
【略歴】1948年東京生まれ。東証一部上場の大日精化工業株式会社ならびに貿易商社勤務を経て1989年3月Macintosh専門のソフトハ ウスである株式会社コーシングラフィックシステムズを設立し代表取締役に就任。 株式会社コーシングラフィックシステムズは「ColorMagician II」「VideoMagician II」「たまづさ」「グラン・ミュゼ」 「MOMENTO」「QTJOY」「PowerKeeper」「MoviePaint」「QTアルバム」「CutieMascot」などなどMacライクなソフトウェアを開発し多くのユーザーならびに市場からの支持を得る。 例えばアニメーションソフト「MoviePaint」はPerformaへのバンドルも含め、総本数は40万セット以上の販売数を記録す る。そして約14年の間、アップルコンピュータ社のトップデベロッパとしてMacintoshとそのソフトウェアの普及に寄与する。 |
いろいろと制約が多い人物モデルの活用はPoserで解決
ひと言でビジネスといってもその範囲は広すぎるが、どのような職業にも何らかの形で製造から販売に至る活動があるはずだし、それらを促進するための広告活動や営業活動があるはずだ。また、規模はともかくデザイナーや企業の企画担当者はもとより、新しい商品やアイデアをプレゼンしなければならない場面は営業職でも多いのではないだろうか。それらの業務の中で厄介なことは "人物をモデルを使うこと" だと思う。
筆者も長いビジネス経験の中でそうした体験を持ったことが多々ある。一番印象的なことは、自社開発のスケジュールソフト用のインターフェース機能として動画のガイドを制作するため、本格的なオーディションまでしてモデルを選んだことがあった。 仲介をしていただいたビデオプロダクションの方たちのお膳立てのおかげで間違いのない仕事が出来たが、分厚いカタログ数冊の中から我々のコンセプトに合うと思われる男性・女性・子供といったプロのモデルを選ぶことからはじまった。いわゆる写真選考である。
次に選考したモデルに来社してもらい、実際に1人1人短時間だがオーディションを実施する。そうした繰り返しの中から数人を選び、日にちと場所を改めて専用のスタジオで撮影を行った...。
多くの企業や広告媒体で日々このような業務が淡々と行われているはずだが、いやはや予算的にもそして時間的にも大変なことである。
なぜこのような大変なことをやらなければならないのか...。それは申し上げるまでもなくビジネスの目的・目標に従いベストの作品を著作権や肖像権などをクリアした形で得たいがためだ。そしてどのような組織・企業でも広告、パンフレットならびにカタログなどなどの制作にからみ、人物モデルを使いたいケースは多々あるものだ。
とはいっても、まさかその都度社員の奥さんや社員をモデルに使うわけにもいかないし(笑)、雑誌から女優の写真を無断で切り抜いて使うなどすれば、立派な著作権違反であり肖像権を犯すことになってしまう。かといって現実問題としては、前記したような本格的なモデル選びなど、時間的にも予算的にも度々出来ようもないではないか。
このような日常の苦悩に一石を投じるのがPoserだと筆者は考えている。
Poserは効率の良いデジタル撮影スタジオだ
とかくスモールビジネスほど、予算が取れないわりにスケジュールばかりがきついといった傾向がある(笑)。「手のモデルが必要だが、来週までに誰かいないか」とか「バストアップの男性像が欲しいが予算がない」といった話しばかりが目立つ。
勿論、Poserだって「それ急げ」とゼロから準備を始めたのではアプリの操作を覚えること、3Dフィギュアモデルの選定やそれらに必要な髪型、あるいは衣装といった小道具類にいたるまでを入手しなければならない理窟だから、物理的な時間が必要である。 しかしこうした需要に応える容易があり、その必要性を感じるなら、他のビジネス同様に日々準備を整えておくことをお勧めしたい。
例えば筆者は「私はモデルプロダクションを経営している」とよく口にする。勿論冗談だが、Poserは実際私の撮影スタジオでもあるし、男女および子供といったモデルを含めると100人以上を揃えている。特に使用頻度が高い女性モデル用の衣装や髪型、履き物、アクセサリーといった類もかなりのバリエーションを所有している。
それに、Poserは仮想的なスタジオ内で様々な照明を準備し、バックドロップによる撮影まで出来るのだから、まさしく立派なスタジオなのである。さらに必要なら撮影の背景として街並みであろうが海岸であろうが、必要に応じて準備ができるし、大道具や小道具も最低限は揃えてある。
こうしたPoserによるモデルプロダクションを経営するには(笑)それなりにコンテンツを揃えるための費用が必要だが、現実の世界のそれとは比較にならない安価なものだ。ただし筆者の性向から百科全書的完全性を求める傾向があるため、いつ使うか分からないものまで購入するはめになり、塵も積もれば山となる例えのとおり、トータルではかなりの出費になっている...。
ともかくPoserプロダクション、Poserスタジオの最大の利点は時間との戦いに強いことだ。無論Poserの使い方にはある程度精通する努力が必要だが、スタジオ貸しの費用もいらないし24時間いつでも仕事ができる。さらにPoserプロダクションの専属モデルたちは朝でも真夜中でも文句を言わないし、お腹が減ったとか時間超過で特別料金が必要だといった要求もなく、貴方の思うがままにポーズを取り続けてくれる。
【Poserの仮想スタジオでは照明は勿論だが、オブジェクトのバックドロップなどを配して現実のスタジオをイメージした演出も可能だ。】 | 【前記した一連の演出で女性モデルをレンダリングした一例。】 |
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フィギュアは高品位なデザインに耐えうるクオリティ
ただ誤解がないように申し上げておくが、私はPoserによる3Dフィギュアが現実のプロフェッショナルなモデルを採用し、プロカメラマンの撮影結果を凌ぐ効果を出せるとは思っていない。あくまで様々な制限・制約を念頭に入れつつ、必要十分な代役として活用することをお勧めしているわけだ。
それに人物の姿を必要とすると一口で言ってもさまざまな利用ケースがある。いつもいつも化粧品のポスターみたいに顔のアップばかりではなく、後ろ姿・唇・目鼻だちだけ...といった部位のビジュアルが欲しい場合も多い。さらに手のアップが必要だということもある。そうした用途ならPoserによるフィギュアモデルで十分表現できるのではないだろうか。 問題は、Poserの3Dモデルはその成り立ちからいって、どうしても外人モデルがほとんどだが、昨今はMikiを初めとして日本人の体形や顔立ちを表現できるフィギュアも増えてきた。それに、Poserの扱いに慣れてきたら例えばPoser 7のニューキャラクタ Sydny G2の顔を自身でモーフィングして、よりアジア系の顔にすることも可能である。
なによりも昨今の3Dフィギュアは単に美しいビジュアルを創り出すことができるだけでなく、その皮膚もソバカスなどが目立つものや、手相ができそうなほど手の平に刻まれた線(掌線)まで表現されているリアルなものがあり、拡大した使い方でなければ一見写真だと見間違えるほどである。
筆者は、クリエイティブなビジネスを目指す方々がこうした数々の利点を無視する理由を考えつかないのだが(笑)、いかがだろうか。