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Poserフィギュア もえたん



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スペシャル



クリーンショット

これまでのPoserシリーズ用フィギュアとは一線を画す、異色の「萌え系」キャラクタとして登場した「もえたん」ですが、発表当初よりオリジナルキャラクタの忠実な再現性で好評をいただいております。
2次元のキャラクタを3次元化する時、常に立ちはだかるのは「似せる」という難しさ。それは、リアルフィギュアの造型と同様に3DCGフィギュアのモデリングでも苦労をするところです。
今回は、その難関を見事にクリアしてハイクオリティなPoserフィギュアを完成させた、CGクリエイターのかこみき氏と那央希氏にお話しを伺いました。
【聞き手:イーフロンティア 西脇イサオ】


■CGブームの申し子たち

―今回発売した「もえたん」はかこみきさんがモデリング、那央希さんがPoserフィギュア化を担当されたわけなんですが、なんとお二人が対面するのはこのインタビューが初めてなんですよね。

かこみき:そうですね。ずっとメールだけでのやりとりでしたから、お会いするのもお話するのも今日が初めてです。

那央希:どうも、はじめまして(笑)

―メールで熱いコミュニケーションをされていての初対面、というのはどんな感じですか。

かこみき:私は地方在住ですから、ネット上での知り合いとオフラインで初めて対面するということは多いので、まあ慣れてますね。

那央希:ぼくも同じく地方在住なので、まあ、なんとなく、こんな感じかな、と(笑)

―なるほど。でも、まあ一応初対面ですから、それぞれCGに興味を持ったきっかけなどからお話しいただけますか。

かこみき:わたしはデジタルビューティー(※1)のブームの頃に興味を持ったのがきっかけですね。テライユキ(※2)が登場した時に、これはおもしろそうだな、と感じてmyShade(※3)を購入したのがCG制作のスタートでした。

那央希:ぼくはビデオゲームのバーチャファイターを初めて見た時に衝撃を受けたのがきっかけですね。ポリゴンのキャラクタが画面上でグリグリ動くのを見て、自分でも3Dのキャラクタを作ってみたいって思いました。その後、テライユキが登場して、これを買ったのがスタートですかね。

かこみき:わたしもポリゴンゲームにはインパクトを受けてますね。バーチャレーシングとかが好きでした。

―お二人とも、3Dビデオゲームで衝撃を受けて、テライユキでキャラクタCGを始められたんですね。まさにあのCGブームを生きてこられたわけなんですね。


■もえたんフィギュア製作の舞台裏

―今回の「もえたん」3Dフィギュア制作は、BNN新社で3DCG書籍を執筆いただいているかこみきさんと、コンテンツパラダイス(※4)のPoserフィギュア用コスチューム販売でコンタクトいただいた那央希さんを、同じ愛知県在住ということでマッチングさせていただいて実現したコラボレーションなのですが、ネットだけでのやりとりによる共同製作ということで、困難なことはなかったですか。

かこみき:共同作業については特に問題は発生しなかったですね。

那央希:製作そのものにはそれなりに苦労はありましたけれど(笑)

―なるほど。では、「もえたん」製作について、ここが大変だったという点についてお聞かせください。

かこみき:私はやはり、いかにしてオリジナルキャラクタに似せるかがいちばんのポイントでした。2次元の絵を立体化すると必ず出てくる形状の矛盾をどこまで解決できるかがキモですね。

―よく言われるところの「花形満」や「サイボーグ009」の髪の毛の問題のようなことですね。

かこみき:そうです、それです。「もえたん」でも横に広がった髪の毛をどのように解釈するかでけっこう苦労しました。

―うまく似せるコツはありますか?

かこみき:コツというわけではないんですが、フィギュア化されているものならフィギュアを何体も購入して、それを参考にすることはありますね。フィギュアにも出来の良いものとそうでもないものがありますので、出来が良いと思うものはどこがそう思わせてるのかをよく観察したりします。あとは、モデリングしたデータを360度いろんな角度で確認しながら、ちょっとずつ微調整していくことに尽きますね。

―まさに良いフィギュア作りに王道なし、地道な努力の結晶というわけですね。那央希さんの方はどうですか。

那央希:ぼくの作業はかこみきさんが作られたフィギュアをいかに破綻がないようにPoser用のフィギュアにしていくかになるんですが、今回は萌え系フィギュア独特の難しさがありました。

―といいますと?

那央希:Poser用のリアル系フィギュアは、下着や水着がハイレグタイプのものがほとんどなんですが、「もえたん」の場合はスクール水着という丈の長いタイプの水着を使います。これが足を曲げた時にそれにつられて伸びてしまうんですね。これを自然な状態で着用できるように加工するのが難しかったですね。


―なるほど。萌え系用のマニアックなコスチューム独特の苦労があるわけですね。今度、確認してみます(笑)

 

■CGは想像をカタチにするツール

―お二人ともCG製作は本業ではないのですが、お二人にとっての3DCGとはどんなモノでしょうか?

那央希:自分の想像を形にするための、自分に最適なツールですね。ぼくは絵を描くのは苦手なんですが、3DCGなら自分の思い通りの絵を作ることができるんですよ。それが楽しくてCG製作をやっています。

かこみき:わたしはモノを作っていく過程が楽しいです。少しづつ形ができ上がっていく、そのプロセスにわくわくします。子供の頃は模型が好きだったのですが、経済的・環境的事情で思う存分作ることができなかったんですよね。それが3DCGなら好きなだけ作れますし。

那央希:そうですよね。模型だと場所もとりますし、塗装などは室内では難しいですし、作れば作るほどお金がかかる(笑)


―模型に比べて3DCGは手で触れない、という弱点がありますが。

かこみき:その代わりにアニメーションで映像作品を作ったり、簡単にテクスチャやカラーリングを変えたりするという楽しみがありますから、触れない弱点はそれで補ってあまりあると思います。

―今後、CGで作ってみたいものはなんでしょうか。

那央希:ぼくはミリタリー系をやってみたいですね。戦車とか。Vue(※5)を使ってデジタルジオラマを作ってみたいです。模型だとジオラマはかなり場所をとりますけど、CGならいくらでも広大なシーンが作れますし。

かこみき:私は基本的にフィギュアとメカが好きなので、今作っている路線のままですが、もっとフィギュアとメカを極めていきたいです。まだまだ技術的にできていない部分がたくさんありますので。フィギュアとメカの製作が私にはバランスがいいようです。フィギュアでリラックスして、メカで気分を引き締めて。そんな感じです。


■将来のCGの理想形とは?

polygon

―ありがとうございました。では、最後に、3DCGは将来こうなったらいいな、という夢をお聞かせください。

かこみき:昔は夢のようだった印刷物がDTPで簡単にできるようになったみたいに、3DCGで作った形状データを出力センターに持って行くと、簡単に立体出力してくれるようになると楽しいですね。これなら手で触れない、という3DCGの弱点も完全に克服できます。

那央希:立体視モニターみたいなのがもっと手軽に実現できるようになると面白いと思います。裸眼立体視モニターとかホログラムが個人で利用できるようになったら3DCGの使い道そのものも大きく変わっていくんじゃないかな。

―どちらも実現すると、すごくおもしろいですね。今日はお忙しいところ、本当にありがとうございました。


注:
(※1)デジタルビューティー:イーフロンティアより発売された美少女系CGフィギュアシリーズ。
(※2)テライユキ:漫画家くつぎけんいち氏デザインによるバーチャルアイドル。1998年に登場し、一大ブームを巻き起こした。
(※3)myShade:1998年当時販売されていたShadeの入門者向けグレード。現在のiShadeにあたる。
(※4)コンテンツパラダイス(Content Paradise):米SmithMicro社が運営するコンテンツダウンロードサイト。
(※5)Vue:景観作成用CGソフト。劇場映画の背景から模型用のジオラマ作成まで幅広く愛用されている。


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