「ALWAYS 続・三丁目の夕日」とVueとは?
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ALWAYS 続・三丁目の夕日」のDVD & ビデオがついに発売開始!
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江場左知子 (えばさちこ) |
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林 隆之
(はやしたかゆき) |
「ALWAYS 続・三丁目の夕日」
イーフロンティア(以下EF):「ALWAYS 続・三丁目の夕日」公開おめでとうございます。今回の作品には当社のVue 6を使用されているシーンがあるとのことですが、Vueシリーズのことはどちらでお知りになられたんですか?
林:ぼくが昔の同僚から紹介をされたのがVueシリーズを知った最初ですね。御社のカタログでも紹介されている「パイレーツ・オブ・カリビアン」でのVueを使ったマット画は、実はその元同僚が率いるマットチームが作っているんですよ。
EF:ええっ、そうだったんですか。「パイレーツ・オブ・カリビアン」のマット画を作られたのが日本人の方であることは聞いてましたが、林さんのお知り合いとは知りませんでした。
林:彼とはフル3DCGで作られた邦画の制作の時に一緒だったんです。で、Vueの話を聞いてこれはいろいろ使えそうだ、と感じて自分で使ってみました。そのときはあるゲーム会社でのCG制作の仕事のときに会社に導入してもらいました。今回「ALWAYS 続・三丁目の夕日」の制作に参加することになり、この作品にも使えるんじゃないかと思ったので白組さんに紹介をしたというわけです。
江場:林さんからVueのお話を聞いて、私のマット画の制作にこのソフトは非常に強力なツールになるのではと感じました。実際に使ってみると、予想以上でしたね。ユーザビリティが非常に良くて、使い始めて1ヶ月くらいで実作品に使えるマット画が完成してしまいました。それに今回Vueを使用したシーンはまさにVueなくしてはできないような景観でしたし。もしVueを知らなかったらお断りしていたかもしれませんね。
EF:へぇ、そうなんですか。今回のシーンは東京タワーとその周辺の昭和30年代の東京の町を俯瞰したシーンなわけですが、もしVueを使わなかったらどんな作り方をされてたのでしょうか?
江場:そうですね。まず制作するシーンに合うような場所を探して写真を撮りますね。昭和30年代の街並みなのでどこか地方都市までロケハンに行くことになります。東京タワーにも登ってアングル検討用の写真も撮ります。そうやって写真で素材を集めて、使えそうな建物をAdobe photoshopで切り出して、シーンに貼り込んでいきながら街並みを作り込んでいきます。
EF:うわー、地道な作業ですねぇ。
江場:そうでうね。そうやって切り貼りした写真を、より自然でリアルに見えるように影やハイライトなどを手作業で描き込んでいきます。遠景ならそれでなんとか作れるんですが、カメラがぐっと寄って近景まで見えるようなシーンだと、この手法では厳しいこともありますね。リアルに表現できない場合は監督にアングルの変更をお願いすることもあります。
EF:本当に緻密な作業なんですね。ちなみに今回のシーン、これまでの手法だとどれくらいの制作期間になりそうですか?
江場:うーん、一ヶ月以上はかかるかな。それがVueだとだいたい2週間くらいでできちゃいました。
EF:それはすごい制作効率アップですね。Vueでの作業はどんな感じだったのでしょうか?
江場:まず、配置用の建物素材のCGデータを林さんからいただきました。
林:一作目で作っていたCGデータも流用しました。
江場:まず遠景はこの素材をエコシステムで自動的に配置します。エコシステムは膨大なパーツを自然な感じでばらまいてくれるので非常に便利です。でも今回は街並みなのである程度規則性を持って建物を配置しないと近景ではおかしな状態になってしまいますので、近景はブロック毎にオブジェクトを作成してそこにエコシステムで配置しました。
EF:お話を聞いた限りではあっという間にでき上がった感じですね。
江場:そうですね。感覚的にはここまで非常にスピーディーにできた感じがします。あとは近景のビルにディティールを描き込んでいって完成作品に仕上げていきました。
EF:やはり仕上げは江場さんのテクニックがキーポイントというわけですね。それぞれのビルの屋上のディティールをすべて手描きで描き込んでいるなんて、びっくりしました。他のシーンではVueは使われていないのでしょうか?
江場:今回はVue導入から映画の完成まで時間がなくて、東京タワーのシーン以外にはほとんど使えませんでしたが、Vueの樹木はいくつかのシーンで使わせてもらいました。Vueの樹木は簡単に変形ができてマスクが切られた状態の画像が得られるのでマット画のアクセントに重宝しました。景観専用ソフトなので私のような汎用の3D CGソフトに慣れていないユーザーでも、わりと楽に自然なライティング表現ができちゃうところがすごくいいです。
EF:いろいろなシーンにご利用いただきありがとうございます。ぜひ、また次回の作品にもVueを使っていただければと思います。今日はお忙しいところ、ありがとうございました。
インタビュアー:西脇功
CG PRESS Onlineより転載