「ALWAYS 続・三丁目の夕日」とVueとは?

ALWAYS 続・三丁目の夕日」のDVD & ビデオがついに発売開始!


大ヒットを記録し数多くの賞を受けた名作「ALWAYS 続・三丁目の夕日」。前作もすばらしい作品でしたが、続編はさらにパワーアップして、多くのお客様に涙と感動をお届けしました。実は、この「ALWAYS 続・三丁目の夕日」の中で、当社の景観3DCGソフト「Vue 6」が活用されているシーンがあるとのこと。いったいどのように使っていただいたのかを知りたくて、シーンを制作された白組さんにおじゃまして、CG担当の林さんとマット画担当の江場さんにお話しをお伺いしました。

プロフィール

江場左知子 (えばさちこ)
1975年愛知県生まれ。東京藝術大学美術学部絵画科に在籍中、デジタルエンジン研究所でデジタルマットペイントを学ぶ。その後東京藝術大学大学院に進学する傍ら、モーターライズや東映の特撮研究所で、「ガメラ3邪神(イリス)覚醒」(99)、「陰陽師」(01)、「リターナー」(03)、などの作品に参加。大学院卒業後はフリーランスのデジタルマットペインターとして「ローレライ」(05)「妖怪大戦争」(05)「ALWAYS三丁目の夕日」(05)「日本沈没」(06)「西遊記」(07)など数多くの劇場映画やCM、TVドラマの仕事に携わっている。

林 隆之 (はやしたかゆき)
1964年大阪府堺市生まれ、岡山県出身。1986年阿佐ヶ谷美術専門学校卒。在学中に映像科でマット画を学び、卒業後、(株)白組に入社。映画、CM等のミニチュア制作、マット画制作に携わり88年フリーのマットペインターとして独立。

近年の主な参加作品
2001年 映画 「ファイナルファンタジー」スクウェアUSA制作
2005年 ゲームムービー 「ファイナルファンタジー12」
2006〜07年 ゲームムービー 「ファイナルファンタジー13」製作中
2005年公開 「ALWAYS 三丁目の夕日」
2007年公開 「ALWAYS 続三丁目の夕日」

「ALWAYS 続・三丁目の夕日」

イーフロンティア(以下EF):「ALWAYS 続・三丁目の夕日」公開おめでとうございます。今回の作品には当社のVue 6を使用されているシーンがあるとのことですが、Vueシリーズのことはどちらでお知りになられたんですか?

林:ぼくが昔の同僚から紹介をされたのがVueシリーズを知った最初ですね。御社のカタログでも紹介されている「パイレーツ・オブ・カリビアン」でのVueを使ったマット画は、実はその元同僚が率いるマットチームが作っているんですよ。

EF:ええっ、そうだったんですか。「パイレーツ・オブ・カリビアン」のマット画を作られたのが日本人の方であることは聞いてましたが、林さんのお知り合いとは知りませんでした。

林:彼とはフル3DCGで作られた邦画の制作の時に一緒だったんです。で、Vueの話を聞いてこれはいろいろ使えそうだ、と感じて自分で使ってみました。そのときはあるゲーム会社でのCG制作の仕事のときに会社に導入してもらいました。今回「ALWAYS 続・三丁目の夕日」の制作に参加することになり、この作品にも使えるんじゃないかと思ったので白組さんに紹介をしたというわけです。

江場:林さんからVueのお話を聞いて、私のマット画の制作にこのソフトは非常に強力なツールになるのではと感じました。実際に使ってみると、予想以上でしたね。ユーザビリティが非常に良くて、使い始めて1ヶ月くらいで実作品に使えるマット画が完成してしまいました。それに今回Vueを使用したシーンはまさにVueなくしてはできないような景観でしたし。もしVueを知らなかったらお断りしていたかもしれませんね。

 

EF:へぇ、そうなんですか。今回のシーンは東京タワーとその周辺の昭和30年代の東京の町を俯瞰したシーンなわけですが、もしVueを使わなかったらどんな作り方をされてたのでしょうか?

江場:そうですね。まず制作するシーンに合うような場所を探して写真を撮りますね。昭和30年代の街並みなのでどこか地方都市までロケハンに行くことになります。東京タワーにも登ってアングル検討用の写真も撮ります。そうやって写真で素材を集めて、使えそうな建物をAdobe photoshopで切り出して、シーンに貼り込んでいきながら街並みを作り込んでいきます。

EF:うわー、地道な作業ですねぇ。

江場:そうでうね。そうやって切り貼りした写真を、より自然でリアルに見えるように影やハイライトなどを手作業で描き込んでいきます。遠景ならそれでなんとか作れるんですが、カメラがぐっと寄って近景まで見えるようなシーンだと、この手法では厳しいこともありますね。リアルに表現できない場合は監督にアングルの変更をお願いすることもあります。

EF:本当に緻密な作業なんですね。ちなみに今回のシーン、これまでの手法だとどれくらいの制作期間になりそうですか?

江場:うーん、一ヶ月以上はかかるかな。それがVueだとだいたい2週間くらいでできちゃいました。

EF:それはすごい制作効率アップですね。Vueでの作業はどんな感じだったのでしょうか?

江場:まず、配置用の建物素材のCGデータを林さんからいただきました。

林:一作目で作っていたCGデータも流用しました。

江場:まず遠景はこの素材をエコシステムで自動的に配置します。エコシステムは膨大なパーツを自然な感じでばらまいてくれるので非常に便利です。でも今回は街並みなのである程度規則性を持って建物を配置しないと近景ではおかしな状態になってしまいますので、近景はブロック毎にオブジェクトを作成してそこにエコシステムで配置しました。

EF:お話を聞いた限りではあっという間にでき上がった感じですね。

江場:そうですね。感覚的にはここまで非常にスピーディーにできた感じがします。あとは近景のビルにディティールを描き込んでいって完成作品に仕上げていきました。

EF:やはり仕上げは江場さんのテクニックがキーポイントというわけですね。それぞれのビルの屋上のディティールをすべて手描きで描き込んでいるなんて、びっくりしました。他のシーンではVueは使われていないのでしょうか?


 
 
 

江場:今回はVue導入から映画の完成まで時間がなくて、東京タワーのシーン以外にはほとんど使えませんでしたが、Vueの樹木はいくつかのシーンで使わせてもらいました。Vueの樹木は簡単に変形ができてマスクが切られた状態の画像が得られるのでマット画のアクセントに重宝しました。景観専用ソフトなので私のような汎用の3D CGソフトに慣れていないユーザーでも、わりと楽に自然なライティング表現ができちゃうところがすごくいいです。

EF:いろいろなシーンにご利用いただきありがとうございます。ぜひ、また次回の作品にもVueを使っていただければと思います。今日はお忙しいところ、ありがとうございました。

インタビュアー:西脇功
CG PRESS Onlineより転載

 

『ALWAYS 続・三丁目の夕日』
映画の大ヒットも記憶に新しい名作、「ALWAYS 続・三丁目の夕日」のオフィシャルサイトはこちら

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